会陰切開・会陰裂傷とは?経膣分娩で起こりやすい傷とそのケアについて

会陰切開・会陰裂傷とは?経膣分娩で起こりやすい傷とそのケアについて

出産の方法は、大きく2つに分かれます。
経膣分娩と、経腹分娩(帝王切開)です。 
経膣分娩は無傷で終える事もありますが、会陰部分に裂傷が起きたり、切開を行うことも多く、会陰部の傷が出来る方も少なくありません。
帝王切開の場合は、お腹を縦に切るか横に切るかの2つの傷に分けられます。

今回は前者の経膣分娩で起こる会陰切開や裂傷の傷について詳しく説明していきます。
※「帝王切開の傷について」はこちら

会陰部の位置とその役目

会陰とは膣口と肛門の間・その周辺の事を指します。通常膣口と肛門の間は数センチぐらいですが、出産の際は徐々に伸展し、赤ちゃんの頭が娩出されるときには10センチほどに伸びます。会陰部は隣接している肛門部に直接負担がかからないようにゆっくり伸展し、赤ちゃんの頭を娩出する際に支える部分になります。

経腟分娩で起こりやすい傷

会陰裂傷とは

会陰裂傷とは赤ちゃんの頭が娩出される際に、伸展が不十分で裂傷が起こり割けてしまうことです。無理ないきみ(努責)をすることや、呼吸法がうまく行われずに産婦さんの力のコントロールができない場合に、会陰部に過度な力が加わります。また、人によっては皮膚の伸展性が悪い場合や、お産のスピードが速く体が準備できていない場合にも起こりやすくなります。裂傷の場所は分娩体位にもよりますが、一般的である、分娩台で上体を起す出産体位の場合は、肛門方面に力が加わるため、下の方(6時方向)に裂傷が入りやすくなります。傷の大きさはそれぞれで、擦り傷程度の方もいれば、肛門に達するほどの傷になる場合もあります。しかし、後者は稀であり、1~2センチ程度の裂傷が大半です。1~2センチとは言え、出産時は会陰部が伸展している状況なので、出産後は自然に収縮します。そのため、産後しばらくすると、見た目では傷は1センチにも未たないぐらいの大きさになります。
その他にも、赤ちゃん娩出時に、会陰部ではなく外陰部の上の方に力が過剰に加わると、小陰唇裂傷を引き起こすことも少数ですがみられます。

会陰切開 とは

会陰切開とは、会陰部の伸展が不良の場合、また、赤ちゃんや産婦さんに異常が生じ緊急に出産にもっていかないといけない場合(吸引分娩等)、医師の判断で会陰部に医療用のはさみで切開を入れることです。傷の長さも状況次第ですが、だいたい数センチ程度の切開を会陰部の斜め下方にいれます。(4時~5時方向or 7時~8時方向)また、病院や担当の医師の方針で、裂傷が起こりやすいと判断された場合は,縫合部を最小限に抑える目的で切開をいれる場合があります。
切開時には局所麻酔を投与してからその部分を切開する場合が多いですが、赤ちゃんの頭に会陰部が押され薄くなっている状況時にはそのまま切開を行います。
切開の感覚はしっかり感じる方もいれば、いつ行われたか分らない方もいらしゃいます。

会陰部縫合とは

会陰裂傷や会陰切開を行った後は、赤ちゃんが娩出した後縫合が行われます。傷の大きさにもよりますが、現在はほとんどが溶ける糸で縫合する場合が多くみられます。縫合は、産後に分娩台の上で処置を行います。処置の際は局所麻酔を投与します。出血の具合やその他の状況にもよりますが、処置は15分程度で終了します。 会陰切開の場合は医療用ハサミで切開しているため縫合がし易くなり処置の時間は短く終わる傾向にあります。反対に会陰裂傷の場合は、自然に起きる傷のため断面が不揃いになることが多く縫合に時間がかかる場合があります。
その後、しばらくすれば傷は目立たなくなりますが、次の出産時にはその瘢痕が残り、その縫合部分の伸展が悪くなるため、同じところを切開したり、裂傷が起きる可能性もあります。しかし、経産婦さんの場合は初産婦さんと違い、皮膚の伸展も良好になりやすいのも事実です。初産婦さんに比べ経産婦さんは無傷の方が多くみられます。

会陰部の傷について

痛みはいつまで続くのか

出産当日から数日にかけて、患部はむくみや腫れが生じています。そのため、動く際に痛みを伴う方が多いです。最初はじんじんする痛みや灼熱感を持つ痛みなどを感じます。産後2〜3日頃からは、患部の腫れがひくことで痛みが軽減してきいますが、傷がふさがっていくと同時に、患部が突っぱったり、引っ張られる感じが出てきます。 退院するときには痛みはだいぶ落ち着き、一か月検診ではほとんど感じられなくなります。退院後も強い痛みが持続する場合はお産をした施設に電話で問い合わせましょう。

痛みの対処方法

痛みがひどい場合、病院では授乳しているお母さんでも飲める痛み止めを処方してくれます。また、座るときには患部に直接あたらないようにドーナツクッションで圧を逃がすと楽に座れます。出産後しばらくは患部に灼熱感がでる場合があります。その場合はパジャマ越しにアイスノンを短時間あてて冷やすと楽になります。縫合部にツッパリ感を覚えてきたときは、シャワー浴時に優しく水流をあて温めると和らぎます。痛みが強い場合は、担当医師とに相談し、抜糸をすると楽になることもあります。
会陰部の痛みは我慢しないで下さい。お産で体力を消耗しています。これ以上痛くてツライ思いは必要ありません。会陰部の痛みがひどい場合は必ず医師や助産師に相談しましょう。

傷のケアと生活で注意すべきこと

産後排便時に、患部に力が加わるのを恐れて、排便がうまくできない方や便秘になる方がいらっしゃいます。排便時のいきみで傷が再度開くことはありませんが、無理な力の入れ方は避け、緩下剤を使用したり、呼吸法(ソフロロジー法が効果的です。詳しくは「簡単ソフロロジー法 呼吸法編」)によってゆっくり排便するのをお勧めします。
また、患部はしばらくの間、悪露で不潔になりやすい状況です。傷が治りにくくなる原因になるため、お裾部分は清潔にしておくのが大切です。トイレ後には清浄綿で拭き、ナプキンもこまめに取りかえるとよいでしょう。 トイレのウォシュレットは感染の可能性があるため1ヶ月健診までは控えましょう。
縫合糸は産後2~3日頃から溶け始め、産後4~5日頃からは糸がカスのようにポロポロ取れてき始めます。気にせずそのままで大丈夫です。産後の入院期間中と退院近くの日に必ず創部のチェックがありますので、気がかりなことがあればその場の医師や助産師に相談すると良いでしょう。

まとめ

会陰部の傷は、みんなができるものではありません。出来ない方も大勢いらっしゃいます。出産時には必ず助産師が会陰保護を行い、会陰部の傷が最小限になるように細心の注意を払います。またそれまでの過程の呼吸法もとても大切になってきます。いきみをうまく逃し、力のコントロールをすることが大変大事になってきます。それを行うためには、ソフロロジー式の呼吸法が大変役に立つので参考にしてくださいね。
産前に行う会陰裂傷や切開の予防方法としては、会陰マッサージ等があります。(詳しくは「助産師が教える正しい会陰マッサージの方法」「出産前にしてもらいたい 会陰切開や会陰裂傷を防ぐためにできること」へ)
最近ではバースプランという、お産のときの希望をかいてもらう施設が増えてきました。理想のお産のひとつに会陰切開をしたくない (緊急時を除いて) 希望があれば、施設の方と相談して記してみるといいでしょう。

【ソフロロジー分娩法(痛みが少ない経腟分娩法)については以下へ。】
ソフロロジー分娩法とは
ソフロロジー分娩(イメージトレーニング編)
ソフロロジー分娩(呼吸法編)
ソフロロジー(エクササイズ編)