なぜお腹の中の赤ちゃんは「頭が下」で「背中が左側」にあるの?

なぜお腹の中の赤ちゃんは「頭が下」で「背中が左側」にあるの?

はじめに

お腹の赤ちゃんの体勢(胎位・胎向・胎勢)について考えたことはありますか?現場でお産を取り上げている私でも、出産した赤ちゃんをみて、「よくこのお腹に収まっていたなぁ」と思うことがよくあります。それぐらい、お腹の中の赤ちゃんの体勢は考えられている姿勢になっており、赤ちゃんやお母さんの神秘を感じます。

最初のうちは、赤ちゃんはお腹の中の空間を自由に動き回ります。妊娠中期ごろからは胎動を感じ始めます。初産婦さんは妊娠20週前後から、経産婦さんは妊娠18週前後から感じる方が多くなってきます。
赤ちゃんが成長するにつれ、だんだんと動きも活発になっていきます。しかし、さらに成長してくると、お腹の空間には限度があり、赤ちゃんの動きも制限されていきます。動きが制限されてくる妊娠後期(妊娠8ヶ月、妊娠28週~)までには、自然と赤ちゃんの「頭は下」になり、赤ちゃんの「背中はお母さんの左側にくる」ようになります。
出産間近になると、7~8割ほどの赤ちゃんがこの体勢になっています。なぜ、このような体勢が多くなるのでしょうか。

赤ちゃんの頭が「下」にくる理由(頭位)

お腹の赤ちゃんの頭が下にくるのは、重力により一番重い頭が下にくるといわれています。さらに、頭が子宮の入り口付近にある方が、出産がスムーズにできることを赤ちゃんは知っているからともいわれています。出産時一番大きい部分の頭を出せば体も娩出し易いことを本能で察知しているのです。そのため、身動きがあまり取れなくなってくる妊娠8ヶ月ごろには頭の位置を下の方にもっていきお産に備えています。

赤ちゃんの背中がお母さんの「左側」にくる理由

お母さんの右側には肝臓と呼ばれる大きい臓器があります。また、お母さんの背中の近くにある大きい血管(下大静脈)が右寄りにあります。それらを避けるため、お腹の中の赤ちゃんは自然に背中をお母さんの左側にもっていき、お腹の中で少しでも自由に動けるようにしているのです。この位置が一番居心地がよいとも言えます。

赤ちゃんの頭が「上」(逆子)にくる理由

8割ほどの赤ちゃんは頭が「下」で背中は「左」に位置するのですが、中には頭の位置が「上」の逆子ちゃんだったり、背中が「右」にくることもあります。
背中の位置が「左」か「右」かは特に問題ありません。しかし、逆子ちゃんになると、下からのお産(経腟分娩)のリスクが高いため、今では帝王切開になります。
お腹の中の体勢に影響を与える原因として
胎盤や臍の位置によるもの、骨盤のゆがみによるもの、子宮の形に影響を与える子宮筋腫や子宮の奇形によるものが考えられます。
いずれの場合も、赤ちゃんが過ごしやすい場所に移動した体勢が結果的に逆子だったということなります。そのため、現在では無理に逆子を治す体操や施術は行わないようにする流れになってきています。

お腹の中の赤ちゃんの体勢が分ったら

妊娠後期になってくると赤ちゃんの背中の位置が決まってきますが、それが分ってきたら、是非背中部分をいっぱい撫でて話しかけてください。お腹が大きくなってくると、お腹の厚みはとても薄くなるため、お母さんが触れば、赤ちゃんも触られていることがしっかり分ります。赤ちゃんの背中を撫でながら声を掛けることで、体温や触覚が伝わります。そしてそれは赤ちゃんの頭にとてもよい刺激を与えます。赤ちゃんへの声かけのメリットは「お腹の赤ちゃんに話かけるのはいつから?」でも紹介していますので参考にされて下さい。
また背中の位置が分ると、その反対側に赤ちゃんの足が位置することになります。逆によく蹴られる場所から、背中の位置も推測することができます。蹴る側のお腹にむかって、赤ちゃんが蹴ってきたときに、お母さんも同じようにお腹をトントンと叩いてみましょう。すると、お腹の赤ちゃんも応えるように、さらにお腹を蹴って反応します(キックゲーム)。このコミュニケーションもとても幸せを感じる瞬間ですので、是非試してください。

さいごに

赤ちゃんは、私たちが思っている以上に賢くいろいろ考えてお腹の中で大きくなっていきます。それを感じることができるマタニティライフは不思議の連続です。赤ちゃんとの語らいを大事に、この大切な時期を楽しく過ごしてくださいね。