【助産師監修】高齢出産の6つのリスク

【助産師監修】高齢出産の6つのリスク

現在は3人1人が高齢出産を経験する時代。
それだけOVER35で出産することは
身近になっています。

しかし、「高齢出産」にはリスクがあるのも事実です。

現在は医療の進歩でその発症や、発症後の重症化等を
防ぐことは可能になってはきました。

しかし、20代までの出産と比較すると
リスクが高いのは今も同じです。

耳を塞ぎたい話題ではありますが
このリスクを知ることで
妊娠前・妊娠中の過ごし方が変わってきます。

OVER35の出産を前向きにとらえるためにも
まずはリスクを把握しましょう。

今回は「高齢出産」の主な6つのリスクを紹介していきます。

「高齢出産」の主なリスクとは

切迫早産、流産になりやすい

妊娠をしたとしても
子宮の環境が不安定で
流産や切迫早産になる可能性があります。

また、卵子の加齢により
染色体異常によって妊娠の継続ができず
流産してしまう可能性があります。

流産率は一般的に15%とされていますが
35歳以上になるとその確率が急激にあがり
35歳以上で20%、40歳以上では50%の方が
流産をするといわれています。

妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病等

妊娠期に妊娠特有の病気を発症する場合があります。
特に多いのが
妊娠高血圧症(昔でいう妊娠中毒症)と妊娠糖尿病です。

これらは、妊娠期に発症し
出産を終えることでその症状が
軽減・消失する場合がほとんどですが
次回の妊娠でも発症の可能性が高く
今後の人生の中で高血圧や糖尿病になる可能性があります。


妊娠高血圧症候群とは
妊娠期に発症する高血圧やたんぱく尿等がみられる病気です。
妊娠によって、血液量の増加や、
母体の血管や心臓・腎臓といった内臓系に負担がかかることで
発症するといわれています。

血圧が高い状態、内臓に異常がある状態が続くと、
母児共に命の危険もある病気です。
自覚症状としては無自覚の場合も多く、
ひどくなると、からだの浮腫や頭痛、目がチカチカする、
吐き気があるなどの症状が出現します。


妊娠糖尿病とは
妊娠中に血糖値のコントロールがうまくいかず
糖代謝異常を起す病気のことをいいます。
ほとんどの人が無自覚です。
これも妊娠で起こる母体への負担が原因で
糖代謝をつかさどるインスリンというホルモンが
うまく働かなくなってしまいます。
この状態が続くと、児が巨大児になり、
出生後の赤ちゃんが低血糖になるなどして命の危険があります。

これらふたつの病気は珍しいものではありませんが、
もともと食生活が偏っていたり
運動不足によっても引き起こされる可能性が高いものです。
また、年齢が高いと、気を付けていても発症してしまう場合もあります。
毎回の妊婦健診での指導や体重を参考にして、
発症予防に努めていきましょう。

難産になりやすい、常位胎盤早期剥離になる

高齢出産は出産時のリスクも高くなってしまいます。
高齢妊娠中の環境により胎盤が脆弱になってしまい、
出産前に胎盤が子宮の壁から剥がれてしまう
「常位胎盤早期剥離」を起してしまい
母児共に危険な状態になる可能性があります。

また、出産時の分娩進行においては、
分娩時赤ちゃんが通ってくる道である
産道(軟産道)が硬くなってしまい、
スムーズに分娩が進まない場合があります。

また、骨盤の柔軟性もなくなってきているため、
産道が狭くなりお産に時間がかかってしまう場合があります。
経腟分娩を経験されている経産婦さんの場合は、
産道が拡がるよう自然に体が反応しますが
OVER35ではじめての出産となると、以上のことが危惧されます。

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染色体異常の赤ちゃんの出産割合が増える

卵子の加齢やパートナーも高齢であると、
染色体異常の可能性が高くなります。
多くの場合は自然に流産をしてしまいますが、
妊娠が継続できたとしても
出生後に発覚する染色体異常も多くみられ、
高齢になるほどその可能性が高くなります。
しかし、年齢問わず染色体異常の赤ちゃんがみらることも事実です。

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産褥期のトラブル

出産後の産褥期でもトラブルを発生しやすくなります。
産後の子宮収縮がうまく行われず
異常出血がおこってしまたり、
産後の肥立ちが遅くなる可能性があります。

また、親の高齢化に伴い
産後頼る家族がおらず、子育てで孤立してしまい、
産後うつを発症してしまう可能性もあります。
産後の育児環境が及ぼす心身の健康状態は大きく、
出産の年齢問わずサポートがうまく得られていなければ
精神疾患を患ってしまう可能性もあります。

持病を持ちながらの妊娠

OVER35になってくると、持病がある方も増えてきます。
高血圧や糖尿病の他に
子宮筋腫などの婦人科疾患、甲状腺疾患を持っている方が増えてきます。

持病をもった状態での妊娠は、
体に大きな負担がかかる妊娠期で
その持病が悪化する可能性もあるため
病気のコントロールが必要になっていきます。

まとめ

今回は高齢出産のリスクについて説明してきました。
しかし、これはこれは絶対起こるわけではありません、
また、OVER35じゃないからといって起こらないわけでもありません。

それだけ、「妊娠・出産」というのは
どれも、どの年齢においても命がけであることは変わりないのです。

OVER35での妊娠・出産を選択したのであれば
まずは自分でリスクを最小限に抑えるために
何ができるかを考えていきましょう。

結果的には
規則正しい生活や食生活、
ストレス抱え込まない生活が
結果的にリスクの少ない「高齢出産」となります。

満足度の高い妊娠・出産・育児を迎えることができるためにも
今日からできること意識してみてくださいね。

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