【助産師監修】簡単にできる「断乳」の方法

【助産師監修】簡単にできる「断乳」の方法

はじめに

授乳の時間特に母乳を与える時間は、人生の中でもとても貴重な時間です。
しかし、いつかは色々な理由で授乳を終えないといけない時はきます。
お子さんが自然におっぱいにバイバイ(卒乳)できれば一番ですが、
家族計画や家庭環境、お母さんの体の状況などで
積極的に断乳をしないといけないこともあります。

私の場合、子どもの乳歯が生え歯痒さもあってからか、
乳頭を噛まれるのことが多くなり、その痛さと傷が絶えなかったことで
断乳を決意しました。
直接母乳の行為はキツイこともありますがとても幸せな時間でもあります。
そのため、いざ「断乳する」となると寂しい気持ちにもなりました。

まずは「断乳するぞ」という母親の意思が大事になります。
また、本当に断乳をしないといけない時期なのかお子さんの様子をみながら
母乳とお別れする決心をつけましょう。
そして、お母さんもお子さんもスムーズに断乳できることを
目指していきましょう。
今回はお子さんの月齢別でのより効果的な断乳の方法をお伝えします。

離乳食が始まるまで(月齢5ヶ月未満)のお子さんの断乳

当然ですがこの時期のお子さんは、母乳で補っていた栄養分を
ミルクで補えるようにしていかないといけません。
そのため、なるべく早い段階から混合栄養(母乳栄養とミルク栄養)に
しておくことをおすすめします。

哺乳瓶のゴム乳首を嫌がらずミルクを飲めるお子さんの場合は、
母乳の回数を減らしずつ、1回のミルクの量を少しずつ増やしていきましょう。
授乳間隔(赤ちゃんがお腹を空かせて泣く間隔)をみて、
ミルクの量を調節していきましょう。

ミルクも全く飲ませていないのであれば、まずは少量ずつスプーンで
ミルクを飲まし、ミルクの味に慣れさせるのも効果的です。
また、ゴム乳首を嫌う子は、工夫しながら飲ませることが必要になります。
家にあるゴム乳首を工夫したり、場合によっては種類を変えたりします。
詳しくは
ミルクを飲まない!赤ちゃんが「ミルクをよく飲んでくれる」方法】へ

完全母乳から断乳を考えている場合は、時間がかかることが想定されますので、なるべく早くからゴム乳首に慣れさせてください。
搾乳した母乳を哺乳瓶で飲ませたりするのもいい練習になります。
またゴム乳首も嫌っても、おしゃぶりを吸い付くお子さんもいます。
ゴム乳首の前におしゃぶりで少し練習するのもいいでしょう。

離乳食が始まってから1歳未満までのお子さんの断乳

母乳の回数を減らしつつ母乳の分の栄養を
ミルクや他の離乳食へ移行していきましょう。
この時期はいろいろな味に親しむことによって、
離乳食を喜んで食べるようになってきます。
また、摂取の形態が変わることで(液体から固形)五感も刺激され
おっぱいから目を逸らしやすくなります。

少しずつバイバイの意味も理解してくるため、
どうしてもおっぱいを欲しがる場合は、「おっぱいはバイバイしたんだよ」
と伝えていきましょう。

この時期からは、乳頭・乳輪に変化を持たせると、
子どもは違いが分るようになるためおっぱいを避けやすくなります。
具体的には、乳頭に絆創膏を貼って見えなくしたり、
乳頭・乳輪に絵を描いて普段と違うものにみせます。
例えば、
「おっぱいに油性ペンでアンパンマンの絵を描いて乳頭を黒く塗り潰した」など
これらは大変効果があり、この方法で成功した方を多く聞きます。

1歳超えたお子さんの断乳

1歳のお子さんはまだ十分に話せませんが
こちらが話することがかなり理解できてくる頃でもあります。
そのためおっぱいを止める際もお子さんにしっかり説明をしてあげましょう。

一番効果的な方法は、カレンダーを使い遅くても2週間前ぐらいから
理想は1ヶ月前からお子さんに毎日カレンダーを見せ予告をします。
「この日になったらおっぱいバイバイね」
これを繰り返し、お子さんも一緒にバイバイと言い出すとなおいいでしょう。
この方法は、お母さんの決心もつきやすく
母子共にストレスが少ない断乳の方法になります。

できればその予告した時から、
少しずつ母乳の回数を減らすことができるといいですが、
バイバイと言った日(断乳の日)には必ずすっぱりとおっぱいをやめましょう。
そして先に説明したように、乳頭や乳輪に絆創膏や絵を書いておくことで
効果的に断乳を行えます。

私の場合もこの手法を使い、
予告したその日にしっかり断乳することができました。
保育園に預けていたこともあり、いつものように夜におっぱいを欲しがることが2~3日は続きましたが、しっかり話をするとあまりぐずらず終わりました。

その他の断乳方法

母乳の味をまずくする

母乳の味はお母さんが食べていたものが影響します。
そのため、臭いの強いもの(ニンニクなど)や香辛料が効いたものなどは、
もともと赤ちゃんが嫌う食材として母乳を与えている間は避けて欲しいものですが、逆に断乳を試みる際には使える方法です。
母乳の味が美味しくなくて断乳できた例もよく聞きます。
具体的な料理としては焼肉やカレー、麻婆豆腐や餃子などの中華系の料理は
効果があらわれやすいです。

昔は香辛料を乳頭に塗布する荒療治もあったみたいですが、
乳頭やまたそれを口にするお子さんによくありませんので
絶対にやめましょう。

母乳の分泌を止める

母乳は薬で分泌を止めることができます。
しかし、止めたものは母乳は再度分泌をしなくなりますので、
よく検討された上で産婦人科に行き相談をして、
母乳を止める薬を処方してもらいましょう。
また断乳や母乳の分泌を抑えるお茶もあります。

おっぱいは精神安定剤

おっぱいを吸う行為は、栄養だけではなくお子さんにとっての
精神安定剤にもなります。
そのため夜の寝かしつけでおっぱいを吸わせている方は、
断乳がなかなか難しくなります。
母乳の回数の減らしていくことでも、
子どもはストレスを抱えることになります。
そのため時間をかけられるのであれば(できれば1ヶ月~2週間前から)
まずは日中の母乳の回数を減らしてみましょう。

時間が十分にかけれない場合は、
しばらくは寝かしつけに根気は入りますが、
夜間の母乳から回数を減らすと短期間で断乳しやすい傾向があります。

断乳をすると、今まで以上におっぱいを触ってこようとするお子さんもいます。子どもはおっぱいが大好きです。
触ること、匂いを嗅ぐこともは精神安定剤になります。
断乳したからこそ、おっぱいは触らせてあげましょう。

そして、月齢に関わらず必ずお子さんに伝えて欲しいことがあります。
それは、「おっぱいがなくなってもあなたのことは大好きだ」
ということです。このことをいっぱい伝えてあげましょう。
愛情をいっぱい注いであげましょう。

さいごに

断乳はお子さんにもお母さんも大変ストレスが大きいイベントです。
そのため、断乳をする際は本当にこの時期でいいのかを
しっかり検討した上で行ってください。

また断乳することで、お母さんは乳房トラブルを起こす可能性もあります。
そのため、なるべく余裕を持って少しずつ回数を減らしていくのが理想的です。どうしても急に断乳をしないといけなくなった場合は、
薬の使用やおっぱいのケアのことも含めて近くの助産院や産婦人科の母乳外来で相談をしてください。

スムーズに断乳が行えるためのお母さんの具体的なおっぱいのケアについては
【断乳で乳腺炎にならないための簡単乳房ケア】
も参考にされてください。