【助産師監修】乳腺炎にならない断乳のコツ・簡単乳房ケア

【助産師監修】乳腺炎にならない断乳のコツ・簡単乳房ケア

はじめに

前回【簡単にできる「断乳」の方法】で
お子さんの月齢によっての断乳方法とその具体策をお伝えしました。

断乳はお子さんのひとりの問題ではなく、
お母さんもおっぱいにトラブルが発生しやすくなります。
特に乳腺炎を併発しやすくなり、
今までも辛い思いをする方達も多く見てきました。

断乳に際してお母さんのストレスを最小限にするためにも
今回はスムーズに断乳行う際の、
お母さんの乳房ケアについて具体的に紹介したいと思います。

断乳時の乳房ケア

断乳時の乳房ケアの基本は、『母乳の分泌を減らす』ということです。
おっぱいを飲まなくなるためしばらくの間は母乳が溜まってしまいます。
しかし、体は母乳を作り続けようとしてしまいます。

母乳を作る量をうまく減らせないと、
乳腺炎を起こし辛い思いをすることになります。
また、断乳前から母乳の分泌を減らすことで
スムーズにお子さんのおっぱい離れをすすめていくこともできます。

母乳分泌を減らすケア

搾乳

搾乳をして溜まっている母乳を出す方法です。
しかし、溜まっている母乳を全部排乳すればいいのではありません。
搾乳をすると体がまだ母乳の生成が必要であると勘違いし、
搾乳された分またはそれ以上の母乳の生成を促すよう働いてしまいます。

そのため自分の体を騙しながら
「必要最小限の搾乳」を行わないといけません。

おっぱいが張って痛いと思う時に、
少しだけ楽になるぐらいの量を搾乳しましょう。
硬結(乳房部の硬い部分)ができてしまったら、
その部分を圧迫しながら搾乳し、
その部分の硬さが少し和らぎ痛みが少し落ち着いたぐらいでやめてください。
スッキリとってしまうと、
その後の張り返しでさらに痛い思いをしないといけなくなります。

また入浴時の搾乳は絶対にやめて下さい。
母乳の分泌が活発な方は入浴時にスタスタと母乳が垂れてくるでしょう。
手でも楽に搾乳できてしまうので思わず触ってしまいたくなりますが、
お風呂での搾乳は危険です。
血液循環がよくなる分搾乳後の張り返し強くなり、
より高確率で乳房トラブルを起こす原因となります。

クーリング

搾乳をした後は張り返し予防のため必ずクーリングをしましょう。
また、搾乳するまでの痛みはないが母乳が溜まっている感じだったり、
硬結がある場合はその部分をクーリングして様子をみましょう。

母乳の材料は血液です。血液の循環が良いとおっぱいは作られます。
逆を言えば母乳の生成を抑えるには
乳房周辺の血液循環を悪くするということです。

クーリングの際は冷えピタでは効果的ではありません。
張りが強くなく痛みも少ない場合は、
ゆっくり冷えをとるキャベツ湿布や山芋湿布という方法もあります。
しかし、痛みや発赤がある場合・搾乳後にはより早くクーリングを行うため
保冷材を使うといいでしょう。
保冷材をガーゼで巻き、それをこま目に変える方がより効果的です。

ここで注意して欲しいのは、体を冷やし過ぎないということです。
クーリングをして気持ちいいと思う程度で抑えてください。

授乳ブラをやめる

授乳ブラは乳房全体を締め付けることない楽なブラです。
楽なぶん、乳房への血液循環を良くしてくれるため
母乳の分泌も期待できるブラです。
そのため母乳の分泌を止めたいのであれば通常のブラの着用をオススメします。しかし断乳後、妊娠前まで着ていたブラのサイズが
合わなくなってしまう場合があります。
きつく窮屈に感じる場合は新しいブラを新調しましょう。

薬で母乳の分泌を抑える

母乳は薬で止めることができます。
すぐその効果が出るため母乳トラブル発生は抑えられますが、
断乳を途中で中断しても母乳の分泌は戻ってきません。
よく検討し相談された上で産婦人科で処方をお願いしてください。

また分泌を緩やかに抑えるお茶もあります。

助産院や母乳外来でのメンテナンス

上記のケアを自分で行ったとはいえ、
どうしても乳房トラブルになる方もいらっしゃいます。
それは体質や環境によるものが大きいので仕方がありません。
もともと乳房トラブルが多い方や、断乳時の乳房の痛みが増す方は
早めに近くの助産院や産婦人科での母乳外来に相談をされてください。
マッサージと合わせて具体的な自宅でのケアも個別に指導していきます。

さいごに

断乳は母子共にストレスが大きいイベントでもあります。
お子さんもですが、お母さんも少しでもストレスが少なく
おっぱいとバイバイできるように、
余裕を持って断乳を勧めていけたらいいですね。

急な断乳を強いられる場合は、
トラブルやストレスを少しで減らすためにも
専門である助産院や産婦人科で相談してみるといいでしょう。