【助産師監修】混合栄養のメリット
- 2019.10.18
- 更新日:2024.04.10
- 楽しい育児
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あなたは「母乳絶対主義」になっていませんか?
赤ちゃんへの栄養手段としては、主に3つあります。
○ 母乳しかあげない完全母乳(完母)
○ ミルクしかあげない完全ミルク(完ミ)
○ 母乳とミルクどちらもあげる混合栄養(混合)
これらの栄養方法、
それぞれどのような方が適しているかというと…
【完全母乳】
母乳がたくさん出る方
仕事復帰をすぐすぐ考えてない方
母乳で育てたいという信念が強い方
【完全ミルク】
病気などの理由で母乳をあげることができない方
出産後すぐ仕事復帰をする方
【混合栄養】
上記以外の方全員におすすめの栄養方法
助産師をしていると、
『母乳絶対主義』の考えを目の当たりにします。
私も一時期は、
なるべく完母になるように指導するのが正しいと思っていました。
現に、完全母乳を強く勧める助産師はたくさんいますし、
それに力を入れている産院や助産院もあります。
確かに母乳は、赤ちゃんにとって
とても良い成分(栄養、免疫)が含まれています。
その他にも、経済面や愛着形成からいった利点はたくさんあります。
そのため、母乳が溢れてくるぐらいたくさん出る方は、
是非完母をおすすめします。
また、母乳で絶対育てたいという強い信念の方もいらっしゃいます。
自分と赤ちゃんが無理をすることがなければ、
完母を目指していいと思います。
*詳しくは:以下の記事も是非参考にされて下さい。
【完全母乳になるコツは?】
【なぜ母乳はすぐに出ないの?】
しかし、母乳の量がなかなか増えなかったり、
頻回授乳で疲労が蓄積され
母乳だけではキツイという方は正直たくさんいらっしゃいます。
また、前知識が先行して、
「母乳以外はあげたくない」という考えになってしまうと
母乳に対し神経質になり、
それが原因で産後うつになった方々も多くみてきました。
育児は、お母さんがニコニコして愛情をかけるのが
子どもにとって一番いい方法です。
「母乳じゃないと絶対ダメ!」と思いながらも
うまく起動にのらず苦労している方、
また、楽に楽しく育児を行いたい方には
是非「混合栄養」がおすすめです。
そして実は、3つの栄養の中でも
とてもいいことづくめの栄養方法なんですよ。
こんなにあった!混合栄養のメリット
母乳栄養とミルク栄養のいいとこどり!
そんな『混合栄養』のメリットと
少ないけれどデメリットをあげてみました。
メリット
・完全母乳が軌道に乗るまでに非常にお世話になる栄養方法。
➡ ミルクに頼りつつ母乳の恩恵も受けることができる 。
・急な用事でも家族や託児に預けることができる。
➡母乳のみだと預けることが難しくなる。
預からない施設が多い。
・ご主人が授乳に参加できる。
➡ 親子の大切なふれあいの時間にもなる。
ご主人の育児に対する自信につながる。
育児に自信がつくと、育児を積極的に行える。
最初どんなに下手でもご主人を誉めることが大事!
・実母や義母といった家族に授乳をさせることができる。
➡お母さんが少し休みたい時、病気になった時に頼りになる存在。
預けやすくなるし、預けられるご家族もお世話に対し自信がつく。
赤ちゃんと家族とのとても大切なふれあいの時間。
授乳を喜んでしてくれる。
しかし、完母主義の実母や義母には気を付けて下さい。
・赤ちゃんとの外出時や母乳をあげずらい状況のときに、ミルクを活用できる。
➡ショッピングモールは母乳やミルクをあげやすい環境になっている
車の中ではチャイルドシートでミルクを与えることができる
・お腹いっぱいの時にぐずったら、おっぱいで大抵落ち着く。
・夜泣きの時もおっぱいで落ち着く。
➡おっぱいを吸うのは精神安定剤の役割も果たしてくれます。
ミルクと違って母乳は「飲ませ過ぎ」がありません。
・お母さんの疲労具合で、母乳かミルクどちらも選べる。
➡寝る前にミルクを飲ませいっぱい寝てもらう。
ミルクを作るのがめんどくさい時はおっぱいだけで済むこともある。
・乳頭亀裂などのトラブルの際、母乳をお休みできる。
➡乳頭亀裂は母乳をお休みさせると、治癒の近道である場合がある。
・ミルクだとクスリを混ぜやすい。
➡赤ちゃんが急な病気により薬を確実に服用させたい場合は
ミルクに混ぜると自然に飲ませることができる。
・自分の状態や環境に合わせて「完母」か「完ミ」の
どちらかへの移行がスムーズにできる。
➡出産前には想像できていなかった状況にもなりやすい育児期間。
その時の状況によってどちらの栄養法も移行しやすくなる。
・断乳がスムーズにできる
詳しくは【簡単にできる「断乳」の方法】へ
デメリット
・出かけ先にはミルクの用意をしないといけない場合がある。
➡母乳だけでは不安なときは、ミルクの用意が必要なために荷物が多くなる。
・ミルク代は多少かかる。
➡しかし、完ミよりはかからない。
・哺乳瓶の消毒をする手間がかかる。
➡完ミよりは洗う回数が少ない場合が多い。
さいごに
育児はストレスと隣り合わせ。
なるべく毎日ニコニコして、子どもに接したいですよね。
しかし、知らず知らずのうちに作った「マイルール」に縛られ、
自分自身で首を絞めているお母さんもたくさんいます。
ただでさえ産後はホルモンバランスが乱れるため、
イライラすることも多くなるのが当たり前です。
そのため、お母さんの作ったマイルールから外れた行動をしている
ご主人やご家族にもあたってしまいます。
最悪、それらは「産後うつ」や
夫婦の離婚危機を招く「産後クライシス」も起こしかねません。
*詳しくは以下を参照
【子どもが0歳~2歳での離婚率が高い!仲良し夫婦でも危険な『産後クライシス』とその対処法】
完全母乳にこだわることが、
育児を困難にさせている原因の1つと感じているのであれば
「混合栄養」をされてみたらいかがですか?
まずは、赤ちゃんが心身共にすくすく育つことが大切です。
とても残念なことに、
未だに「ミルクは悪い」と思っているお母さんもいます。
ミルクはちゃんとした栄養ですし、
日本のミルクは世界的にみても高品質です。
ミルクに頼る心の余裕も自分でつくってあげてくたさい。
最後に「混合栄養」も、
実はすっごく楽というのではありません。
いずれにせよ、赤ちゃんへの栄養は大変です。
飲んでほしいときに飲まないし、
飲んだのに泣くし…
お母さんは本当に頑張っています。
だからこそ、いろいろと融通がききやすい「混合栄養」は
人に頼れるし助かるのです。
育児に正解はありません。
でも、子どもが笑顔を絶やさず、大きく育ってくれたら、
それはもう自分に100点満点をあげましょう。
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