【助産師監修】なぜ赤ちゃんの頭の形は「いびつ」「ぼこぼこ」?
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赤ちゃんの頭を見た時、
赤ちゃんの頭の形が「丸くない」「いびつだ」
と感じたことはありませんか?
後頭部が長かったり
頭頂部が長かったり
左右の形が違ったり。
また、赤ちゃんの頭を触ると
デコボコしていたり
へこみがあることに
気付いた方も多いのではないでしょうか。
これらは、赤ちゃんの頭蓋骨に特有な現象です。
![](https://birth-consultant.com/wp/wp-content/uploads/2019/04/バースプラン アイキャッチ.jpeg)
赤ちゃんの頭蓋骨は柔らかく、
何枚かの骨に分かれており結合せず脳を覆っています。
その理由もふまえて、
今回は赤ちゃんの頭の特徴とその原因について説明します。
赤ちゃんの頭が「丸くない」「変形している」理由
出産時に頭の形を変えながら産まれてくる
出産時赤ちゃんは狭い産道を通ってきます。
その産道を通るため、
赤ちゃんの頭蓋骨は移動し重なり、
頭全体を小さくしてその産道を通ってきます。(応形機能)
産道を先進する頭の部分によって、頭の形が変わってきます。
一番多くみられるのは、後頭部が長くなっている赤ちゃんです。
これはこの赤ちゃんが産道を通る際、
後頭部を前進させて産道を通ってきたことを示しています。
この変形は1ヶ月ほどで自然になくなります。
![](https://birth-consultant.com/wp/wp-content/uploads/2019/10/赤ちゃん頭蓋骨.jpg)
出産後の向き癖による外部の圧力
出産して間もない赤ちゃんは、
お腹の中の体勢が癖になっているため向き癖があります。
特に新生児は
頭をまっすぐにして寝かせても
自然に左右のどちらかに向いてしまうのです。
また、上向きがずっと好きな赤ちゃんもいます。
このまま赤ちゃんの好きな向きの状態で寝かせていると、
柔らかい赤ちゃんの頭は、
下になっている部分が平坦になっていきます。
その状態で骨が固くなってしまうと、
大きくなっても、頭の形が歪んだままになってしまいます。
以下の方法を図ることで生後2~3か月までに
少しずつ改善がみられていきます。
【頭の歪みを防止・改善する方法】
○ 頭の向きを2時間毎に変えてあげる
○ 向かせたい方向に体全体をむけ、
反対を向けないように背中にバスタオルなどで土手を作る
○ 赤ちゃんの頭にドーナツ枕をいれて、頭への圧を分散する
※詳しくはこちら
【赤ちゃんの頭の形を「丸くする」方法】
頭蓋骨癒合早期癒合症の可能性も
赤ちゃんの頭の歪みがだんだんとひどくなる場合は
頭蓋骨癒合早期癒合症という疾患の可能性もあります。
向き癖の改善を図っているのにも関わらず
生後2~3か月になってもどんどん頭の歪みがひどくなる場合は、
かかりつけの小児科に相談してみましょう。
場合によっては頭蓋骨の形を整える
頭蓋形状矯正のヘルメット療法などを行います。
赤ちゃんの頭がデコボコしている理由
骨重積
赤ちゃんの頭がデコボコして、骨が盛り上がっている部分は
骨重積が起きている部分になります。
これは赤ちゃんが狭い産道を通る際、
頭を小さくし、形を変える時に起こります。
離れていた頭蓋骨が移動し、
骨が重なった部分が骨重積の部分です。
経腟分娩ではなくても、
妊娠後期になると出産の準備のために、
赤ちゃんは自分の頭を子宮の入り口付近に位置しはじめ、
グリグリと少しづつ侵入しようとします。
そうして少しずつ骨重積を始めます。
そのため、帝王切開後の赤ちゃんでも骨重積が見られることがあります。
逆に、逆子の赤ちゃんは骨重積が目立ちません。
![](https://birth-consultant.com/wp/wp-content/uploads/2019/10/ココ.jpg)
骨重積は痛い
お母さんは大変な思いをして赤ちゃんを出産しますよね。
出産時のお母さんの体は、骨盤の骨が動きます。
恥骨や尾骨といった骨盤全体が開き、
赤ちゃんを通すため産道を広くするのです。
「骨が動く」という現象は、
骨折に値するほどの痛みを生じるといわれています。
そのため、出産時に腰やお腹が砕けるように痛いという方がいるのは
本当にそのような痛みを感じているから、ということになります。
一方お腹の中の赤ちゃんは、
出産時、頭の骨を動かしながら産道を通ります。
頭とは全身をつかさどる大事な臓器です。
それを守る頭蓋骨が動くとなると、その痛みは尋常なものではありません。
しかし、その痛みを小さい体で耐えて、
この世に必死に産まれてこようとするのです。
出産時は、お母さんだけではなく
赤ちゃんも一緒に頑張っているのだということが分りますね。
※詳しくはこちら
【赤ちゃんはどうやって産まれてくるの?】へ
骨重積自体は生後1ヶ月ほどで消失します。
頭の形が丸く戻っていくと同時になくります。
しかし、骨のつなぎ目は1歳近くまで触ることができます。
ボコボコではなく、少し段差がある?ぐらいになっていきます。
赤ちゃんの頭にへこみがある理由
![](https://birth-consultant.com/wp/wp-content/uploads/2019/10/赤ちゃん泉門.jpg)
大泉門・小泉門
赤ちゃんの頭蓋骨は何枚かに分かれています。
その骨と骨に囲まれた隙間のことを泉門といいます。
この泉門の隙間のおかげで骨重積が行われ、
応形機能の際にも圧が分散ができるようになっています。
その中でも手で触って分るのが大泉門と小泉門です。
骨がない部分なので少しへこんでおり、触るととても柔らかいです。
大事な部分なので触りすぎるのは控えてくださいね。
大泉門は前頭部、小泉門は頭頂部の後部に存在します。
大泉門は12ヶ月~18ヶ月頃、小泉門は2~3か月頃で閉じます。
大泉門が異常にへこんでいたり、膨張していたりすると
脱水や感染症などの疾患を抱えている可能性がありますので
かかりつけの小児科に相談してください。
さいごに
赤ちゃんの頭には、
産道を通るためのとても大切な機能があります。
さらに、私達助産師や医師は、
この赤ちゃんの頭の骨の形を頼りに内診をしています。
赤ちゃんの頭を触ることで
分娩時の赤ちゃんの位置や回旋の仕方、
お産の流れの予想を立てることができます。
※詳しくはこちら
【産婦人科の診察『内診』で何を診てるの?何が分かるの?】
いろいろな役割を果たす赤ちゃんの頭は
小さくてもとても立派なのです。
すごい思いをしてこの世に誕生してくれる赤ちゃん、
頭の形をみるとまた愛おしく感じませんか?
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