【助産師監修】簡単ソフロロジー法「呼吸法編」

【助産師監修】簡単ソフロロジー法「呼吸法編」

ソフロロジー式分娩法を行うには主に3つの事を行います。
イメージトレーニング
②呼吸法
エクササイズ

前回に引き続き、今回は②呼吸法についてお話しします。

ソフロロジー法における「呼吸法」とは

どのような呼吸なのか

ソフロロジー式分娩においての呼吸法は単純で簡単です。
ただ、『息をゆっくり長く吐く』それだけです。

具体的な例えとしては、
30センチ程前に置いてあるろうそくの火を
消さないような強さで息を吐いていきます。
置かれている状況にもよりますが、
だいたい20秒~30秒程度かけて息を吐き、
肺のすみずみの空気まで全部吐ききる感じだとなおいいでしょう。

「息をゆっくり長く吐く」ことでどのような効果があるのか

「息をゆっくり長く吐く」という呼吸は、
心身をリラックスさせ、カラダの緊張を解いてくれます。

ヨガをしている方は、呼吸、特に『息を吐く』ことの
大事さを既にご存知だと思います。
ヨガをしたことない方でも、
ストレッチや筋トレをする時に息を吐きながら行うと、
筋肉の緊張が解け痛みを軽減しながらカラダを伸ばすことが出来ますよね。
また、緊張したりする時も、
ゆっくり呼吸をした方が精神的に落ち着ついた経験もあると思います。

ゆっくり長く吐くと、
人は無意識に自然に息を吸い込みます。
自然に酸素が入ってくると言ってもいいでしょう。
この「息をゆっくり吐くこと」に集中すると、
しっかりと「十分な酸素を取り込むこと」につながるのです。

不思議なことに、人は息を吸おうとすると
過換気、過呼吸といった状態に陥ります。
「吸おう」と意識すると、
「吐く」時とは反対に、心身の緊張を高ぶらせてしまうのです。

お産のとき呼吸がうまくいかないとどうなるのか

産婦さんの中には、陣痛が少しずつ来始めると、
恐怖が先に立ってしまい、
呼吸法どころじゃなくなる方がいらっしゃいます。

人は恐怖を感じるとどうなるか…
では、自分が最も苦手な事に直面している状況を想像してみてください。

もしジェットコースターが苦手なら…
高い所にどんどん上がり、そこから急降下する時。
全身に力が入り、サイドのバーを強く硬く握り、
目を硬く閉じ、ギャーッッ!!!と叫ぶでしょう。


お産を『恐いもの』として捉えている産婦さんは、
陣痛がくると上記と全く同じような状態になってしまいます。

お産を、陣痛を、「恐いもの」と最初から思い込んでる方は、
その痛みが増してくるとさらに恐怖でいっぱいになります。
恐怖が先に立ってしまうものだから
陣痛が来るとジェットコースターに乗っている様な状態に陥ります。
お産のとき叫んでしまうという人がいるのはこういう事なのです。

残念なことに「叫ぶ」ことは、
産まれてこようとしている赤ちゃんにとても悪い影響を与えてしまいます。
「叫ぶ」ことは息を吐いているのではなく、
「息を止めている状態」と一緒です。
お母さんが息を止めたら、
お腹の赤ちゃんはたちまちストレスがかかり、
酸素が回らず、大変苦しい思いをします。
ひどい場合は胎児仮死にもつながってしまうのです。

イメージトレーニングで培った、
プラスのイメージがとても重要になってきます。

「陣痛=恐い」というのではなく
陣痛は赤ちゃんを産み出す為の「大切なエネルギー」である
と捉えることです。

お産は恐くない。
陣痛の痛みはいい痛みなんだ。
待ちに待ったカワイイ我が子に会える大事な生理現象なんだ。

ポジティブな気持ちを持つ事で、
陣痛が次に迫ってきても、
「ツライけど…よし!頑張ろう!赤ちゃんに会う為に頑張ろ!」
という気持ちを持て、
『ゆっくり長く吐く』余裕が生まれます。


お産のとき呼吸法がもたらす効果

陣痛の時
ゆっくり長く吐く事で心身の緊張を解いてくれます。
体もリラックスしようとするので
陣痛を起こしている子宮以外の筋肉は緩むようになります。

そしたらどうなるでしょう。

産道の周りの筋肉も緩みます。
赤ちゃんが狭い産道をスルスルと通りやすくなります。
それによって骨盤や靭帯もスムーズに広がり伸び、
更に産道は広がります。
そして、痛みが軽減するのです。裂傷も圧倒的に少なくなります。

ソフロロジー式分娩が、
薬を使わない和痛分娩とも言われるのは、
この効果がしっかり出ているからです。
実際痛みが4割程軽減するとも言われています。

赤ちゃんにもとても良い効果があります。
陣痛が来てる時、赤ちゃんもとてもツライ思いをして、
お母さんに会いに来ようと頑張ります。
その時、お母さんがこの呼吸法をしてくれたら

狭い産道が広がり、
赤ちゃんの痛みも少なくなり、
ストレスなく産道を通ってこれます。
そして、しっかり酸素も入ってくるので苦しい思いをせず、
暗い狭い産道も一生懸命降りて来ようとします。

呼吸法が上手くいかなかったら赤ちゃんはどうなるでしょうか…

赤ちゃんは、狭い産道が更に狭くなることで
赤ちゃん自身の痛みも強くなりストレスが増します。
そして酸素も上手く供給されないので、
赤ちゃんはどんどん苦しくなります。
クビを締められているのと同じ状況になるのです…

さいごに

『ゆっくり長く吐く』この呼吸法が
どれだけ大事でお産にとって重要なのかご理解頂けたでしょうか?
この事を頭の隅においてもらうだけでもいいんです。
実際陣痛が来た時、助産師さんに「ゆっくり吐いて〜」と言われた時、
吐く事が大事だった!というのを思いだし、
少しずつその呼吸をしてみてくださいね。

普段の生活でもトレーニングはできます。
お腹が少し張ったとき、
疲れを感じたとき、
排便をするとき、
夜眠りに入る前、
ふとした事でこの呼吸法をしてみてください。

難しい訓練はいりません。
吐くというのを少し意識してもらったらそれで大丈夫。
あとはお産に対してプラスのイメージを持ち
お産の時を迎えるようにしましょう。

次回は③エクササイズについてお話しします。