お腹の中の赤ちゃんとママをつなぐさい帯(へその緒)。
この中を通る血液(さい帯血)を、保管する人が増えてきました。
実際、出産の現場でも妊婦さんの認知度や再生医療の期待度が上がるとともに、さい帯血の保管を希望する人も増えてきているように感じます。
今回は、自分のお子さんのさい帯血をお子さんのために保管する「民間(プライベート)バンクのさい帯血保管」について説明していきます。
さい帯血をなぜ保管するメリット
さい帯(へその緒)は、胎児が母体の子宮内で成長する際に、母体から栄養や酸素を供給する役割を果たす重要な器官です。出産後、へその緒から流れる血液をさい帯血と呼び、出産時に約50〜150mlのさい帯血が残存しています。
このさい帯血には、体や血液の細胞を生成するのに重要な役割を果たす「幹細胞」が豊富に含まれており、今後の再生医療に多いに期待の持てる血液です。また、再生医療に使用する際、採取したこども自身や家族への治療での拒絶反応が抑えられるメリットがあります。
しかし、この血液は出産のうちのわずかの間して採取することができません。そのため、妊娠中にこの貴重な血液を保管するかどうかを家族でしっかり話する機会をつくることをおすすめします。
さい帯血の具体的な活用例
現在、国内外問わず多くの研究機関でこのさい帯血の活用について研究がされています。また臨床実験も活発に行われ、現在治療法のない疾患に対しても期待が持てる分野といわれています。
日本でトップシェアを誇り、全国でさい帯血保管を行っている株式会社ステムセル研究所によると、これまでの白血病などのほかに、脳性麻痺、自閉症、小児難聴などの症状が改善したという報告がされています。
さい帯血保管をする人は多い?
私が助産師になった20年ほど前に比べると、大変多くの妊婦さんが保管するようになったと感じています。実際、現場でさい帯血を採取する場面にもこれまで幾度となく立ち会ってきました。
さい帯血保管時は、急なトラブルでさい帯血が採取できない場合もあります。そのため、最近ではさい帯そのもを保管するサービスも開始されるようになってきました。
さい帯血保管を希望される方は、さまざまですが私のこれまの経験からすると、以下のご家族がよりさい帯血保管を積極的に申し込まれている実感があります。
高齢出産でや不妊治療を得て授かったお子さん(貴重児)に、将来の保険として残しておくご家族
身近なご家族やご友人に脳性麻痺になった方、血液疾患を抱えているかた、自閉症の方がいる
さいごに
自分のお子さんのために「さい帯血を残す」ことは、今後お子さんに何かあったとときの心強い保管となることでしょう。ぜひ、妊娠中にパートナーや家族とさい帯血保管について話し合う機会をつくってみてくださいね。