妊娠期に増える体重の内容とは
妊娠の体重増加、妊婦さんの多くが心配されることです。
しかし、お腹の中の赤ちゃんの順調な成長と妊娠期を健康に過ごすためには、体重増加することが自然であり、とても大切です。
妊娠中の体重の要素は赤ちゃん以外に何があるのでしょうか。今回を体重の内訳について解説します。
赤ちゃんの変化
赤ちゃんの変化による体重増加の要素は以下になります。
・赤ちゃん自身
・胎盤
・臍帯
・羊水 など
赤ちゃん自身の体重はもちろんのこと、それを支える臓器や器官が体重増加の要素になっています。
人間の体は、母体が栄養不足の状態であってもある程度赤ちゃんの体重は成長します。そう考えると、自然に生活するだけでも、普段よりも栄養の取り込みが活発であることがわかります。
ママ(妊婦さん)の変化
妊娠による変化(赤ちゃん以外)による体重増加の要素は以下になります。
・子宮
・乳房
・血液量
・脂肪量
・細胞外液 など
赤ちゃんの成長を支えるために、また出産後の育児のためにママのからだは大きく変化します。赤ちゃんを包んでいる子宮は本来「鶏の卵」ほどの大きさしかありません。しかし、出産間近になると20~30倍ほどの大きさ(出産直前には長さ約35cm程・幅25cm程)まで成長するのです。
また、赤ちゃんを育てるために重要な血液は普段よりも1.5倍の量になるため、それに合わせて心臓や腎臓の負担も増えます。その他、産後の授乳のために乳腺が発達し、血液量だけではなく脂肪量も増えます。
このことから、妊娠中のママのからだは栄養や水分を取り込み・貯めやすいからだになるのです。
妊娠中はどのくらい体重が増えてもいいの?
妊娠中に体重が増えるのは当たり前のことなのがお分かりいただけたでしょうか。
しかし、体重の正常な増え方の目安はママの妊娠前の体格によって違います。赤ちゃんの出生体重は、ママの体格の違いで大きな差はありません。そのため、もともと体に蓄積されている脂肪量などが関係してきます。
簡単にいえば、やせタイプの方は体重をより増やす必要があり、肥満タイプの方は増やす必要がないということです。
自分の体格に応じた「体重の増えすぎ」「体重の増えなさすぎ」はどちらも問題になります。
妊婦さんの体格によって基準以上に「増えすぎ」てしまうと、さまざまななトラブルやリスクにつながり、「増えなさすぎ」は赤ちゃんの低体重(2500g未満)を招きます。赤ちゃんが低出生体重児だと、そのこどもが成人したときに生活習慣病になりやすいなどのリスクがあることが近年わかってきました。
自分の体格知しって、体重増加の基準を知ろう
BMI(Body Mass Index)とは体格指数のことで、身長と体重によって算出される指標です。
妊娠前の体重から自分のBMIを算出し、自分の体格を確認・認識します。そして、当てはまる体格の基準内の体重増加を確認します。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
例)身長158cm、体重48kgの人のBMIは? → 48(kg)÷1.58(m)÷1.58(m)=19.2
妊娠中の体重増加指導の目安
*1 日本肥満学会の肥満度分類に準ず
※「増加量を厳格に指導する根拠は必ずしも十分ではないと認識し,個人差を考慮したゆるやかな指導を心がける.」 産婦人科診療ガイドライン産科編 2020 CQ 010 より
※国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所ホームページ『妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針:妊娠中の適切な体重増加量について』より
さいごに
妊娠後期、特に妊娠9か月後半(妊娠34週以降)になると、「空気でも太っている気がします!」と嘆くママを多くみかけます。実際私の妊娠中の同じことを感じました。からだの不思議のひとつではありますが、体重コントロールはしんどいですよね。なるべくストレスにならないよう、毎日頑張るのではなく2~3日を区切りに栄養のバランスをとるようにすると、少し心が穏やかにすごせますよ。出産直前nまで続く体重管理ですが、どうか無理はしないようにしてくださいね。