【助産師監修】難産とはどんな分娩?何が原因?

【助産師監修】難産とはどんな分娩?何が原因?

難産とは?

難産とは医学用語ではありません。
おおまかな定義でいえば「正常分娩」ではない「異常分娩」のことを指します。

スムーズに何も問題なく終える「安産」とは違い、分娩中に母体や胎児などに何かしらのトラブルが起こり分娩が滞る、医療介入が必要になる状態です。

異常分娩は、どの妊婦さんにも起こる可能性はあります。特に妊娠前・妊娠期間中に何かトラブルを抱えている方はもちろん注意が必要です。また、妊娠期間中何も問題がなくても起こる可能性があります。

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分娩時間が長いお産とは?

「分娩時間が長くかかるお産=難産」
と思われる方も多いと思いますが、分娩時間が長くかかることを医学用語で「分娩遷延」といいます。

分娩遷延の定義1)
陣痛が始って(お腹の張りが10分以内)から、初産婦で30時間、経産婦で15時間以上経過してもお産ならないもの。また、この分娩進行状況であると「遷延分娩の可能性がある」と判断された場合は、必要な医療介入を行われることもあります。

難産の原因とは?

分娩で重要な3要素は「産道・娩出力・娩出物」2)です。
このいずれかに原因がある、またはこのいずれかに影響を及ぼす問題があると難産になる可能性があります。

1.産道

産道とは、赤ちゃんが出産時に通る経路のことで、主に骨盤や子宮頚部、膣、外陰部のこと指します。
これらの部位に問題があると、出産が順調に進みません。

骨盤のゆがみ、赤ちゃんの頭より骨盤が小さいことにより起こる児頭骨盤不均衡
子宮口が硬く開かない、産道が拡がりにくいなどです。

2.娩出力

娩出力とは赤ちゃんを生み出すために必要な力で陣痛・腹圧(いきみ)のことを指します。

高齢出産や疲労などの要因で娩出力が弱まり微弱な陣痛になってしまうと、出産がうまく進まず長引いてしまうことがあります。

3.娩出物

娩出物は胎児や胎盤、へその緒のことなどを指します。

これらに問題があると、うまく娩出できない可能性があります。

胎児の問題としては、赤ちゃんが大きい(巨大児)、回旋異常、胎位異常。
胎盤やへその緒といった付属物の問題としては、赤ちゃんが娩出するよりも先に胎盤が剥がれる常位胎盤早期剝離や、へその緒が赤ちゃんの体に絡まる臍帯巻絡などがあります。

まとめ:難産のリスクを下げるためにも健やかな妊娠生活を

誰もが「難産」にはなりたくありませんよね。難産のリスクを少なくするためにも、マタニティライフを心もからだも健やかに過ごすことを意識することが大切。ストレスをため過ぎず、ときには自分にご褒美の時間をもうけて、有意義なマタニティライフをおくってくださいね。

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出典:
1)日本産科婦人科学会雑誌第64巻第9号「ガイドライン解説 産科編 CQ404 遷延分娩」
2)日産婦誌59巻10号研修コーナー「D.産科疾患の診断・治療・管理:3.分娩の生理・産褥の生理」