会陰マッサージとは
経腟分娩で赤ちゃんが娩出する際
会陰裂傷が起きたり
会陰の伸展が不十分等の理由で
会陰切開を行う場合があります。
会陰切開や会陰裂傷についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
【「会陰切開・会陰裂傷とは?経腟分娩で起こりやすい傷とそのケアについて」】
「できれば会陰部の傷を作りたくない」
と思う方は多いでしょう。
そのためには会陰部の伸展を良くする必要があります。
その方法として効果があると言われているのが
会陰マッサージです。
会陰マッサージをの効果をあげるために
会陰マッサージを行う際には
必ず以下の事に注意し行ってください。
また帝王切開の予定が決まっている方は実施しなくて大丈夫です。
無痛分娩予定の方も
会陰裂傷・会陰切開の可能性は十分にありますので
会陰マッサージを積極的に行っていきましょう。
開始時期
マッサージを始める時期は
ソフトなマッサージであれば32週ぐらい(妊娠9ヶ月)
ハードなマッサージであれば36週ぐらい(妊娠10ヶ月)
から始めましょう。
しかし切迫早産傾向の方や
安静を余儀なくされている妊婦さんは
ハードなマッサージは正期産に入った37週以降から行ってください。
会陰部や手指を清潔にする
会陰マッサージは
必ず会陰部や手指を清潔にしてから行ってください。
不潔な状態で行うと感染の可能性があり
切迫早産を引き起こしてしまう可能性があります。
また、指の爪は短くしましょう。
そうすることで
しっかり丁寧に会陰部のマッサージを行うことができます。
もし爪で会陰部周辺の皮膚を傷つけてしまうと
感染の原因になりますので注意してください。
体を十分に温める
会陰マッサージは
体を十分に温めた後に行うのが効果的です。
そのため入浴をした後がおすすめです。
体が温まると皮膚にオイルが浸透しやすく
マッサージの際の痛みが生じにくくなります。
また十分にマッサージも行えるため
会陰マッサージの効果が出やすくなります。
しかし
長風呂には注意してください。
妊娠後期になると
長時間の入浴で貧血を引き起こしやすくなっています。
5分から10分程度の入浴で済ませて行ってください。
マッサージの際は湯冷めをしないように
浴室をしっかり温めて行うようにしましょう。
使用するオイル
会陰マッサージにはオイルを使用して行います。
使えるオイルとしては
純度の高いオリーブオイル(エクストラバージンオイル)
太白ごま油、純度の高いバーユ、
100%のカレンデュラオイル、スィートアーモンドオイル
ホホバオイルなど、植物系の純度が高いオイル等です。
その中からご自分の肌にあったオイルを使用しましょう。
最初どれを使ったらいいか分らないという方は
簡単にスーパー等で手に入りやすい
純度の高いオリーブオイルや太白ゴマ油をオススメします。
ドラッグストアなどで目にするベビーオイルは
鉱物性のオイルではなく植物性のオイルを使用してください。
量は指が浸るぐらいの量をつけて行います。
オイルの量が少なすぎると痛みが生じやすく
多いと肌への刺激が強く出る場合があります。
マッサージの頻度
正期産を迎えるまで(36週までは)は
週に2~3回行ってください。
正期産に入ったら(37週以降)
いつお産になってもいいように
毎日行うのが理想的です。
正期産以降のマッサージでは
陣痛も誘発できることも期待できます。
しかし体調がすぐれない場合はこの限りではありません。
出来るときに行いましょう。
会陰マッサージの体勢
立つ場合は片足を椅子などにのせる姿勢を。
立つの不安定だったりきつい場合は
両足で膝立をした後に、片足を立てる姿勢で行います。
どちらの姿勢も頭を下げる形になりますので
長時間の同じ体勢は避けましょう。
また欧米では
ご主人にマッサージをしてもらうよう指導することも多いです。
会陰マッサージの方法
初めての方むけ:ソフトな会陰マッサージ法
担当の医師や助産師から
切迫早産やその他の理由で安静を指摘されておらず
妊娠32週に入られた方
また初めて会陰マッサージを行う方は
ソフトな会陰マッサージ法から行いましょう。
オイルを塗った手で
会陰の部分を左右にUの字を書くようにマッサージをします。(左下図)
この時オイルが浸み込むよう意識するといいでしょう。
その後オイルが皮膚に馴染んできたら
先ほどと同じ場所ををクルクルと円を描きながらマッサージします。(右下図)
だいたい3分~5分程、休憩をいれながら行ってください。
慣れてる方むけ:ハードな会陰マッサージ法
妊娠36週を迎えた方
また37週以降の正期産に突入された方は
ハードな会陰マッサージ法を行います。
親指にオイルを浸み込ませ
膣内にゆっくり第一関節辺りまで挿入します。
親指と外の4本の指を会陰越しに重ね
膣口を挟みながUの字にオイルを浸み込ませていきます。
親指を挿入した後
左図のように膣の下側を全体的に押し広げるように
圧を加えていきます。
押し広げる際は親指の力だけではなく
腕全体で親指に圧を加えると指を痛めることはありません。
同じ方向を5回ずつ行い
徐々に場所を移動させていきます。
途中滑りが悪くなった場合はオイルを追加しましょう。
親指を挿入する際に痛みがある場合は
無理をしないようにしましょう。
少しずつ行うことによって
日に日に挿入しやすくなるのを実感すると思います。
ゆっくり慣れていきましょう。
マッサージ以外にも会陰裂傷を防ぐ方法
会陰マッサージをしたからといって
絶対に会陰裂傷しないわけではありません。
会陰裂傷にならないよう会陰を十分に伸展させるには
赤ちゃんを娩出時の
呼吸法やいきみの逃し方なども重要です。
せっかく伸びのいい会陰で臨んでも
呼吸法がうまくいかないと
会陰が裂けてしまいやすくなります。
その他にもいろいろな方法があります。
より詳しく知りたい方はこの記事も参考にされてください。
【出産前にしてもらいたい 会陰切開や会陰裂傷を防ぐためにできること】
まとめ
会陰マッサージは
会陰の伸展を良くする効果のほかに
お産に対するイメージをつける効果もあります。
ここを押し広げて
赤ちゃんが生まれてきてくれるだ
実際お産の現場では
自分の体に起こっている変化が分らず
無理にいきみ
会陰部に負担をかけてしまうことがよくあります。
出産前から自分の会陰部に意識をむけてあげることで
出産の際にも
「マッサージした部分が今拡がってきているな」
「ここは力をいれずゆっくり呼吸した方がいいな」
と自然に分るようになるのです。
是非会陰マッサージをしながら
お産にむけての心と体の準備をしていってくださいね。
また分らないことがあれば
かかりつけの施設の助産師に相談していきましょう。