【助産師監修】赤ちゃんは なぜ赤いのか?

楽しい育児

赤ちゃんはこの世に誕生すると
呼吸をするため大きな声で力強く泣きます。

その呼吸により体がすぐに赤くなりはじめ
赤ちゃんの体は真っ赤になります。

出産後の現場では
お母さんたちが赤ちゃんをみて
「赤ちゃんって本当に赤いんだ」
とよく言っているぐらいです。

赤ちゃんがなぜ「赤ちゃん」と言われるのかは
この「赤」からきているのでしょう。
「赤子」「赤ん坊」も同じですね。

赤ちゃんが「赤い」理由

どうして赤ちゃんが「赤い」のか
その原因はいくつかあります。

皮膚が薄いから

赤ちゃんの皮膚は大変薄く
血管が皮膚から透けて見えやすい状態です。

泣いたりすると血圧が上がり
さらに血管が浮き出るため
体全体が赤みを帯びたようになります。

しかしその後の日常生活で
日光を浴びたり外気の刺激に触れることで
皮膚が厚くなっていくため
自然に赤みも落ち着いていくようになるのです。

多血(血液が多い)だから

赤ちゃんの血液は
酸素を運ぶ赤血球の割合が
成人に比べ20%ほど多くなっています。


その理由はお腹の中の環境です。

赤ちゃんは母親のお腹の中では
自力で呼吸できません。
酸素交換は臍の緒を通る血液で行われます。
しかし呼吸で行う酸素供給よりも
血液で行う酸素供給は効率が劣ります。

そのため酸素を十分に確保するために
胎内の赤ちゃんは赤血球を多く持つことで
体全体に酸素をスムーズに供給できるようになっているのです。

この世に誕生し自分の力で肺呼吸できるようになると
余分な赤血球は不要になりますが
出生してからしばらくは体内に残るため
赤ちゃんは全体的に赤く見えます。

また余分な赤血球をうまく体外に排出できないため
生後3~4日目ぐらいから
皮膚や白目が黄色みを帯びる
「生理的黄疸」が出現するのです。

赤ちゃんの黄疸についてはこちらの記事も参考にされてください。
【赤ちゃんの肌や白目が黄色くなるのはなぜ?「新生児の生理的黄疸」について簡単解説】

褐色脂肪細胞が多いから

産まれたばかりの赤ちゃんは
自由に動くことができません。

そのため熱を発生させるための
エネルギーをつくる褐色脂肪細胞が
成人に比べ多くなっています。

この細胞は多くの酸素を必要とするため
褐色脂肪細胞には血管が集中し
毛細血管が密集しています。

その結果
血管が集中しているところが多くなるため
全体的に赤くみえます

いつまで赤い?

特有の赤みは数日で治まります。
退院するころには落ち着いていることもあるでしょう。

しかし
出産して1か月程は
赤みを帯びたように見える子も多いです。

「赤い」赤ちゃんは色白になる?

「赤い赤ちゃんほど色白になる」
という噂がありますが
一概には言えません。


確かに色白の赤ちゃんは
赤みが強くでることがあります。

また両親が色白なのに
赤ちゃんの赤身が続いて心配になる方もいます。
先ほども説明したように
赤みは生後1カ月ぐらいでまで続くことも多いので
そのまま様子を見てくださいね。

さいごに

赤ちゃんは自分のからだを守るために
大人とは違う仕組みで体を守ろうとしています。
酸素を効率よく供給するためだったり
熱の生産を自力で行うための仕組みが
結果的に皮膚を赤くしているのです。

そう考えると
赤ちゃんの「赤」は生命力を表す
とても重要な意味をなしているのがわかります。

実際赤ちゃんの皮膚色は
赤ちゃんの状態を知るうえでも
とても大切な指標です。

皮膚の色で赤ちゃんに今起きている状態を
いち早く察知することができます。
ぜひ赤ちゃんの皮膚の色にも意識をむけて
生活されてみてくださいね。